読書体験を一歩進んだものにする‐書評‐本の読み方

以前にも紹介した本ですが、どうしてももう一度紹介したい。読書という行為について深く考えさせる一冊です。この本を読んで、本に対する思いは一変しました。著者は、芥川賞受賞の小説家。小説家の著者だからこそ、語ることのできる本の読み方を提唱しています。

目次:

序――本はどうよめばいいのか?
第1部 量から質への転換を―スロー・リーディング 基礎編
第2部 魅力的な「誤読」のすすめ―スロー・リーディング テクニック編
第3部 古今のテクストを読む―スロー・リーディング 実践編
   夏目漱石『こころ』
   森鴎外高瀬舟
   カフカ『橋』
   三島由紀夫金閣寺
   川端康成伊豆の踊り子』 
   金原ひとみ蛇にピアス
   平野敬一郎『葬送』
   フーコー『性の歴史? 知への意思」
おわりに
先日、「何のために本を読んでいるんですか?」というエントリーを書きました。その答えのひとつが本書で提唱するスロー・リーディングではないでしょうか。スロー・リーディングとはつまり精読。本書ではその精読のコツを詳しく解説しています。

読書の目的は人それぞれです。今までに知らなかった情報を得ること、主人公になりきって物語を楽しむこと。要するに、本を読むことで自分とは別の世界を体験し知見を広げる。それが読書の目的ではないでしょうか。

読書の楽しさは、本書を読めば何倍にも膨れ上がります。そして、その楽しさは本だけではなく、映画、演劇、TVドラマなどにも飛び火します。作り手の意図がどこにあるのか、ということが敏感にキャッチできるようになったから。

著者の速読に対する主張については、ハッキリ言って偏見だと言わざるおえませんが、その点を差し引いても本書はぜひ読んでほしい一冊です。本書でとりあげられている、他の著作の解説を読むだけでも教養が深まります。本書を読んで、あなたの読書体験を読書経験に深化させてみませんか?

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