起業を追体験する‐書評‐渋谷ではたらく社長の告白

昨日に引き続きまして、
404 Blog Not Found:書評blogの本当の売り物

書を語るな。体験を語れ。
ということで、本日は体験が詰まった本をご紹介します。といってもぼくの体験が詰まっているわけではありません。誰の体験かというと、サイバーエージェント社長の藤田晋氏。自分にとっても思い出の一冊なんでちょっと昔話をしながら紹介しようと思います。ぜひ、お付き合いください。

●ぼくのインターン時代

この本との出会いは2年前にさかのぼります。1回生の夏。ぼくはあるウェブ制作会社にインターンをしていました。当時は、調子にこいた学生で、何もできやしないのにできるオーラ満々でした。今思い出してもお恥ずかしい・・・・・・。

やる気はあっても、能力がないものですから、仕事は溜まる一方です。毎日毎日、終電で買える日々を過ごしていました。当時はライブドアが良い意味で話題になっていたので、単純にベンチャー企業はカッコイイと思ってインターンを決めました。甘すぎる。しかし、実際に働いてみて現実の大変さを知ったのです。何でもできると思っていた自分の自信がぼろぼろと崩れていきました。親の偉大さを知りました。

学校の友達とも遊ぶ時間も、自分のやりたいことをする時間もほとんどありませんでした。何度逃げ出そうと思ったことか。そんなときに出会ったのが本書です。プロローグにはこんな言葉が書かれていました。

●ぼくを救った「社長の告白」

渋谷ではたらく社長の告白:P.6

高校3年生で、ミュージシャンを諦め起業家を志しました。
社会に出てから必死に仕事しました。
恩人を裏切り、親友を裏切りました。
ろくに美味いものを食べずに、仕事だけに夢中でした。
恋人と別れ、仕事ばかりの人生を選びました――。
しかし、仕事とは何だったのだろうか。
自分の生き方は正しかったのだろうか。
これが本当に自分の望んだ人生だったのか。
今でもはっきりと覚えています。そして、そのままレジまで行き、帰りの電車で貪るように読みました。この言葉に自分との体験を重ねたのだと思います。本書には藤田社長の起業家としての苦悩が詰まっています。そして、苦悩から脱出するための軌跡がつづられています。この本を読んだことで、働くことの責任が少しだけわかった気がします。

●社長になるために必要なもの
以前、藤田社長にお会いしたときに、「経営者にとって一番重要な資質は何か?」ということをお聞きしました。そのときにおっしゃっていたのが、「『考えながら動くこと』。そして『忍耐力』この2つがないと社長はできない」ということ。

ぼく自身就職活動をしていて、驚くことがあります。ITベンチャーで経験を積んで将来は起業したいと簡単に語る学生が多いことです。なんで?と聞くと、簡単に儲かりそうだからという答えが返ってきます。IT企業だって汗をかいている。成功するのに重要なのは、成果がでないときでも、めげない志の高さだとぼくは思っています。

起業するということを追体験するにはもってこいの本書。起業の疾走感とその苦労がじっくりと味わえます。今だからこそ読み返したい、叱咤激励の詰まった一冊です。

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