変化の時代をどう生きるのか?‐書評‐ウェブ時代をゆく

本書の内容は副題にある「いかに働き、いかに学ぶか」この一言に尽きます。前作の「ウェブ進化論 」は「インターネットによる社会構造の変化や人間の役割の変化」をテーマにしていました。インターネットによって、知識を学ぶ場、その学びを表現する場、その両方が全ての人に平等に開かれ始めた。専門性を高めるための高速道路、「フリーウェイ」が一気に轢かれたのだ。という内容でした。

この「フリーウェイ」をどう走っていったらいいのか。道案内として「ウェブ時代をゆく」は位置づけられています。本書では二通りの「フリーウェイ」走破方法が示されていて。

1.寝食を忘れて1つのことに没頭し、ただひたすらに専門性を極めるべくフリーウェイを走りきる方法。
2.フリーウェイを降りて、一定の専門性と総合力を活かした"けものもち"を歩く方法。好きなこととできることを組み合わせて生きていくなんでもありの複合的な生き方。

そのどちらの道を行くにしろ、好きなことをして「飯が喰える」可能性がインターネットによって、広がってきている。そしてそうした生き方を支えるには、「好きを貫く志向性」と「勤勉の継続」が重要になってくるというのが本書の内容です。

インターネットの技術的な進化について知りたい人にとっては、正直目新しいところはありません。「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」で示されているようにインターネットの技術的な進化というのはすでに出揃っているのかもしれませんし、梅田氏の提案する生き方がすべて正しいとは思えません。

しかし、インターネットの登場によって時代が変化していることは確かなはずです。ぼくはそうは思います。変化の時代はさきが見えにくいのでどうしても不安になってしまいます。先行きが見えず不安なぼくに、この本は少なくとも勇気を与えてくれました。これは多くの人も同じような感覚を受けたのではないでしょうか。読めば勇気がでる。この本、それだけは保障してもいいです。

モノを書く意義はそれを読んだ人の心に何を生じたかに尽きる、と私は思う。P.242
そういった意味で本書は大きな役割を果たしたといえるのではないでしょうか。

どんな変化であれ、それが天災や事故のような突然の打撃ではなく、ゆっくりと皆に訪れるものなら、それは「荒波に飛び込む」ようなものでなく「雨の日に自転車に乗る」くらいのことなのだ。P.199
変化の時代を生き残るのは、強い種族でも、賢い種族でもありません。変化に対応した種族だけが生き残るのです。さいわいにも変化に対応するための手段は、今あなたの手元にあるのですから。

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