本書は『声に出して読みたい日本語』でおなじみの斎藤孝氏が"書く力"ということについてまとめたもの。それもいかにして量を書くかということに焦点をあてています。
ウィキペディアで、斎藤孝氏の著作を調べてみたらなんと、単著だけで107冊も出版されていました。1997年から2007年という20年間にです。一年に平均5.35冊の出版ペース。すごすぎる。そんなハイペースで"書く"を実践している著者だからこそ本書の書く力には説得力があります。
さて原稿用紙を10枚突破のキーワードは「3の法則」。三色ボールペンといい何かと3という数字が好きな著者ですね。実際に著者の文章教室では、下のようなステップで読書感想文を書くよう指導しているそうです。
1.好きなところを3ヵ所あげる。
2.それぞれの部分について言いたいこと(コメント)をまとめる。
3.次に順番を考えさせる。
次に、この目次をご覧下さい。
プロローグ 書くことはスポーツだすごくないですか?本書も綺麗に「3の法則」で構築されています。ここまでしっかりと構築されていると、もう見事としかいいようがありません。まるで何世紀もの時代を超えて、今なお形をたもっているピラミッドのような文章構築力です。
第1章 書くことは考える力を鍛える
1 書く前に考える
2 思考力を鍛える
3 書くことは価値の創造だ第2章 「書く力」とは構築力である。
1 「引用力」をつける
2 「レジュメ力」をつける
3 文章は「3の法則」で構築する第3章 「文体」を身に付ける
1 文体が文章に生命力を与える
2 文体は立ち位置で決まる
3 オリジナルな文章を書く
あとがき
なぜそれほど「3」にこだわるのかというと、三脚のように三つのポイントがあれば、長い文章をきちんとした形で構築できるからだ。P.23確かにこの方法だと安定して文章が書けようになります。今回の書評がまさにそう。思考の流れが、いつになく整理されてとても書きやすいです。本の中から1つ又は2つを選ぶとなると、どうしても他人とかぶってしまう。けど、3つとなるとそう滅多に3つ同じということはないはず。3つを選ぶことで引用文でありながら、その人のオリジナルが出せるのお得な方法です。
文章の質というのは、読書体験や人生経験、才能などを含めたその人の総合力にかかってくる。急にはあげられないし、急には変えられない。質を上げてから量に向かうのではなく、量をこなすことで質をあげると考えよう。なんとありがたいお言葉だろうか。書くことは自分をつくること。やはり人生経験の差、才能がそのまま文章に出てしまいます。しかし、トレニーングすることで、実際に文章の質が向上すると後押ししてくるのなら、俄然やる気がでてきませんか?自分のように人生経験浅いものは、やはり他人に負けない努力しかない。コツコツ積み上げればいつか天まで届く巨大なピラミッドがそびえたつことを自分は信じています。
本書では、とにかく量をこなす方法を推奨する。なぜなら、原稿用紙十枚を書くトレーニングを積んでいけば、文章の質は必ず向上するからだ。P.16
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