文章を書くのが楽しくなる!‐書評‐自分づくりの文章術

自分の言葉で表現するという難しさは、毎日ブログを書くようになって、思った以上に実感させられました。映画見て「おもしろかった」、焼肉を食べて「うまい」といった感想では、誰も動かないというのはわかります。かといってあの映画は「今まで見たこともない傑作」という、まるでステレオタイプの感想でもいけない。表現者はそれほどまでに厳しいのだと、ヒシヒシと実感しています。正直文章を書くのはしんどいです。

そんな「文章を書くのはしんどい」という思いを変えるために書かれたのがこの本です。たまたま図書館で気に入ったので借りたのですが、著者は清水良典氏。なんとあの404 Blog Not Foundで絶賛されている「高校生のための文章読本」の共著者でした。なんて運命的な出会い。

文章を書くことはちょっと億劫である。ちょっと努力がいる。書いているあいだには迷ったり、悩んだり、ちょっと苦しい時もある。それでも結果的に書けたとき、ひとは途中の苦労を忘れて、歓びを覚える。人に見せたくなる。
なぜ楽しくいのか?
文章を書くことは、とりもなおさず、「自分」を作ることだからである。本書でいいたいことも、そのことに他ならない。P.007
文章の良いところは、時代を超えて残るところ。苦労した文章が形として残ることにかなり達成感を覚えます。難産であればあるほど、我が子はかわいいものです。今では誰もが、インターネットをとおして、自分の子供を世界中に武者修行させることもできるようになりました。時には、非難されたり、からかわれたりもしますが、旅をすることでより強靭になって生まれ変わるのも、事実です。本当にいい時代。

人が生きていることは、そのまま「文」なのである。私たちは文章を意識の構成要素とし、文章の紡ぐイメージで自らを衣服のように包み、文章の交流によって他者や社会とコミュニケーションしている。だとすれば、文章を自分らしく創りだすこと、いいかえれば文章によって自分づくりをする力を持つことは、どんな処世術やビジネス戦術にも増して、生きる上での有利なツールであろう。P.211

表現者に与えられたきたずっしりと重たい足かせを、著者"自ら"やさしく取り外してくれます。書くことを楽しみたい方、ぜひ一読をオススメします。

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