「桃太郎」すら問題解決のテキストにするフィンランド式教育の徹底力

1892752726_d69134e438.jpg新年一発目の東洋経済は北欧特集。格差なき成長を可能にした社会システムについて特集されています。おもしろかったので、ご紹介。

この特集の中でも、とくに驚いたのが、フィンランドにおける教育の方法について。フィンランドでは、問題解決力を小学生のうちに徹底的にトレーニングしています。それも「桃太郎」などのテキストを利用して。

●なぜ、桃太郎で問題解決力が鍛えられるのか?
それは桃太郎が誰もが知っている「国語」のテキストだからです。
フィンランドでは問題解決力を鍛えるには、国語教育が最適であると捉えられています。なぜなら、国語なら、算数、理科や社会など、ほかの強化と比べて問題解決に知識や経験を必要としないからです。数学の問題をとくには方程式の知識が必要になります。しかし、国語のテキストなら言語を理解する力さえあれば、誰しも問題解決ゲームに参加することができます。あらゆるテキストを「問題を提示し、解決の具体例を提案してくれる相手」としているのです。

●では、具体的にどのように桃太郎の問題を教材として使っているのか?

国語教育での問題解決のプロセス
1.物語の最大の問題点を特定する
(おじいさん・おばあさんがいに子供がいないことか?/どうやって犬・猿・キジを家来にするか?/鬼の存在か?

2.問題を分析する
(なぜ鬼が問題なのか?−人に悪さをする/存在自体が悪?)

3.解決策を提案する
(物語が提示する具体例:退治して、宝物を奪取)

4.再現の解決策を提案する
(自分だったら、どうする?/一定の条件化で最善の解決策は?)
P.65の右上図より引用

桃太郎のテキストにそって、まず物語において何が問題なのかを特定し、実際に提案されている解決策は本当にベストなのかということを徹底的に考えています。この桃太郎の例では、「鬼退治はするが宝物を奪う必要はない」「鬼を説得して、平和にする」などの解決策がでてきました。固定観念にとられず、徹底的に「なぜ」という疑問をもつ。鬼はなぜ悪者のかという誰もがスルーしてしまうようなことを小学生のうちから考えさせているのです。

日本においても、問題解決力の必要性は叫ばれていますが、具体的にそれをどう教育していくかという方法論まで落とし込まれていないように感じます。フィンランドでの、教育方法も紐解いてみれば「『なぜ』という疑問を持つことで問題解決力は鍛えられる」という今まで散々言われてきたことです。しかし、桃太郎までテキストにしてしまうフィンランドの徹底振りには非常に驚かされました。これじゃ日本の教育では太刀打ちできないな〜と。そうはいっても今更、学校教育のせいにしてばかりいては、しょうがないので、個人としてフィンランドの教育方法を見習ってスキルアップのトレーニングをしてみてはどうでしょうか。テキストはそこら中にあるのですから。

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