マイナス思考も悪くない?‐書評‐2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?

本日、紹介するのは、あの2ちゃんねるの管理人として有名なひろゆき(西村博之)氏の著作。タイトルから「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 」をパロってますね。さすが2ちゃん管理人。内容は技術者視点から見たIT業界の「今」といったところでしょうか。「ウェブ進化論」に対抗してか、やや悲観的です。

僕が一番おもしろいと感じたのは先日もご紹介した小飼氏とひろゆき氏の対談。長文引用で失礼しますが、ぜひご覧下さい:

小飼:僕は世界が平和であってほしいと考える人ですけど、逆にどうすれば平和が崩れるかということも考えています。
西村:平和も考えれば、今の平和を崩す方法も考える。その選択肢を考える人のが楽しい人だ(笑)
小飼:楽しいというか、考えるのを止められないんです。
西村:それ、わかります。僕も、昔友達とどうやったら完全犯罪をできるか考えたんですけど、意外とできてしまいそうだという結論になり、考えるのを止めたんです。あまり考えないほうがいいんじゃないかって。
小飼:最終的に怖い考えになってしまいますよ。
西村:僕の場合、モラル抜きに、まずどういう選択肢があって、その選択肢にどんな未来があるのか考えてから、行動に移すんです。普通の人はモラルとかあるから、僕のような考え方おかしいと言うんじゃないですか。僕たちはモラルを持った普通の人の考えにならないと言う意味では似てるんじゃないですかね。
(中略)
西村:日本がODA(政府開発援助)で提供したお金で、その国は武器を買って戦争していたりする。日本で武器を作るのはよくないけど、ODAのお金で、その国は武器を製造して人を殺しに行く。その違いが、僕にはわからない。それは、日本で武器を作っているのと同じだと思うんですけど、それは日本では考えないことになっている。
小飼:だから、僕は、世界の滅ぼし方を知らない人には為政者になってほしくないですね。日本の為政者は甘いと思います。
P.205より引用
いや〜。頭良すぎですね。この二人の思考法ですが、紐解いてみると実は

最も極端な場合を考える。

ということなんですね。この思考法、科学の世界ではよく使われていて、たとえば空気の性質を考えるときには、空気が全くなかったらどうなるのか、などを思考実験します。そうすることである性質や条件がもっている意味がはっきりと見えてきます。

よくマイナス思考がよくないと言われる理由は、気分までマイナスの方向にしてしまいがちだからでしょう。しかし、ひろゆき氏などが、このような思考法にいきついたのは、マイナス思考、悲観的な性格の持ち主であったからではないでしょうか。

ココロと切り離して、頭で考えるなら、マイナス思考も捨てたもんじゃありません。最悪の事態を常にシュミレートしているからこそ、その問題が実現した時にあわてずに対処できるというメリットもあります。むしろ物事をつき詰めて考える場合マイナス思考は非常に有効な思考法のひとつであると言えます。

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