【頭脳労働の本質がわかる】仕事を加速する技術 50冊レビュー 9冊目

僕は本に線を読んだり、付箋をはったりするので、読むスピードはそんなに早くないのですが、この本は買ってから、あっという間に読めた本です。数ある仕事術の本で、こんなに一気に読んでしまう本はそうそうありません。

で、本書内容ですが、「頭脳労働」というものに焦点を当てて解説しています。著者がコンピュータに詳しい学者さんだけあって、頭脳労働の本質をコンピュータと対比していて非常にわかりやすく解説しています。学者さんなので説明は論理的ですが、堅苦しくもなくタメになる、本当におすすめの一冊です。

○段取りをしすぎない
本書では仕事が遅れる原因を「2重、3重にデコード」してることであると論じています。「デコード」とは聞きなれない言葉ですが、コンピューター用語のひとつで、意味は、「仕事において何が求められているかを、自分の頭で理解する段階」です。つまりは"段取り"のことです。この「デコード」に時間をかけすぎること、さらにせっかく時間をかけて「デコード」をしたのに、仕事を先送りして無駄にしてしまうことが、仕事を進められない原因である、というのが筆者の主張です。(逆に、コンピュータはこの2重デコードがないので仕事が早い。)

この2重デコードという考え方に、非常に説得力あります。自分としては時間を最大限有効活用しようと段取りを考え、さらに段取りを考えた上で「やっぱりこの仕事は明日にしよう」などと平気でやってしまいます。こういった経験、意識はしてないものの誰しもあるんではないでしょうか。

○考えながら動く
では、無駄なデコードを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。その解決策の1つに「ラピッドプロトタイピング」という手法が紹介されています。ラピッドプロトタイピングとは、ソフトウェア開発の手法の一つで、「とりあえず動くもの」を高速で作ってから、どんどん改良していく方法です。この、とりあえずのゴールを共有し考えながら動くという考え方がやってみると役に立ちます。

この考え方を実行して気がついたのが、やっているうちに、アイデアが、生まれてくることです。ゼミ内での論文作成時にラピッドプロトタイピングを応用したのですが、非常に役に立ちます。計画段階だと、どんな内容にしようかと、うんうん唸るだけで全然論文が進まないのです。ある程度わかっていることや調べたことだけをとりあえず形にしようと思って書いていくうちに、話の流れが見えてきました。ここにはこういうデータで補強しようとか、ここは本筋からずれているか削ろうなどとやってみてはじめてわかることがたくさんありました。デコードしたあとはとりあえず、すぐ実行してみる方が完成度は増すようです。

○無駄を効率化する
本の中で効率化を邪魔するアムダールの呪いというものが出てきます。

アダムールの呪いとは
一部分をいくら高速化しても、
それが全体に占める割合が小さければ、たいして効果がない

という効率アップを阻む壁のことである。(本書P.176より引用)
つまり、年に2回しか行わない仕事を頑張って効率化するよりも、毎日繰り返している仕事のスピードを上げるほうが効果があるというものです。この法則、「パレートの法則」に近いものを感じます。(わかっちゃいるけど、実行するが難しいという点においても)

実際の仕事の時間で重要なのものに使われているのは20%で、残りは大概80%ルーチン作業です。この残り80%をいかに効率化していくか。ばっさり捨てるのがベストの選択肢だと思いますが、そう簡単にはいかないのが世の中ちゅうもんです。出張報告書や経費の清算などの作業はできるだけテンプレート化しておくことが肝心です。

このテンプレート日々のルーチンにも応用できます。例えば朝起きてからの出社するための流れを見直しテンプレート化しておくことで、ゆとりをもった朝を迎えることもできます。

つまるところ、段取りは重要であるが、それに時間をとられすぎないということが、僕が読み取った仕事を加速する技術です。自分がひっかかったところ3点に絞ってレビューを書いているので、他にも本ブログでは紹介しきれない役立つ内容がたくさん載っています。なので、ぜひ一読をオススメします。

関連リンク
考難-著者のHP
5分で読むビジネス書:『仕事を加速する技術』──あなたの仕事が前に進まない3つの理由‐Biz.ID
理想的なタスクリスト(1)‐あすなろBlog

タイトル:仕事を加速する技術
副題:ストーリーでつなげるシンプル思考法
著者:梅津信幸